オーディオルームのある家

●設計事例の所在地: 
東京都町田市
●面積(坪): 
35坪
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

敷地はもともと道路から1.5m程度高くなっていて、その高低差の分を掘削して、半地下の鉄筋コンクリート造オーディオルームを埋め込んでいます。地上部分は木造のスキップフロアの構成になっています。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

「プロ仕様のオーディオ機器のコレクションを好きなだけ並べて、大音響でも近隣に迷惑を掛けずに音楽を楽しみたい。」というのが建て主さんからの希望でした。また、コンクリート打ち放しの要素を入れ、モダンアートがよく似合うシンプルなデザインを希望されていました。設計当時はご夫婦お二人、現在はお子さんが一人の3人家族です。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

依頼をいただく以前、当時私が事務所で実施していた、月一度の「住まいづくり講座」を半年間受講されて、土地探しからの家づくりについてじっくり学ばれ、その後に設計のご依頼をいただいて、一緒に土地探しを始めました。講座での話や、毎回講座の後に行っていた個別の相談で、信頼関係ができあがったのだと思います。
限られた予算での希望の家づくりに最も重要なのは、つくりたい家に適した、規模や価格を含む条件の土地を選ぶということです。そのためには、土地選びの段階から建築家を選び、一緒に検討を進めていくことが、理想の家づくりに繋がるものと私は考えています。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

一番の主要なテーマは、理想のオーディオルームをどのようにつくるか、ということでした。その事を念頭に、数ヶ月掛けていくつかの土地を実際に見て歩いた結果、たまたま道路から1.5m高くなったこの土地が見つかりました。
大音響の防音室を、この高低差を利用して半地下方式にすれば、完全な地下室にするほどのコストを掛けずにつくることが可能です。防音室と玄関まわりをRC造にして、地上部分を木造とすることで、デザイン的にもバランスよくまとまり、ご予算内に収めることもできました。
防音室の室内側には、音響と断熱を兼ねた羊毛断熱材を採用し、壁・天井の仕上材には白樺合板を用いて、コンクリートの部屋でも木の温もりを感じられるように工夫しました。
天井の高い2階のLDKには、シート状の電気式床暖房を設置しています。

依頼者の声: 

半地下のRC造と木造の混構造といことで、工事監理はかなり苦労の連続でしたが、完成後にはお客様から「お陰様でよい土地選びも出来た上、理想の家づくりができました。」と嬉しいお言葉をいただきました。
2年目の点検に伺った際には、オーディオルームには所狭しとレアな機材が並び、私もコンサートホールにいるような臨場感で楽しめる音楽を堪能させていただきました。その時のご主人の嬉しそうな表情が、10年以上経過した今でも思い出されます。
リビングルームをはじめ、あちこちに飾られたモダンアートが空間に馴染んでいて、「この作家の作品をこういう部屋に飾るのが夢だったんです。」と満足げに話して下さり、私も大変嬉しく思いました。

その他の画像: 

道路と駐車場レベルから入った玄関ホール。左側は靴とクロークの壁面収納、右側のグリーンの扉がオーディオルームの入口、正面奥から右への階段になっています。

半地下のオーディオルーム。左側の壁を背にスピーカーが並び、上部に音響のために設けた天井スリットがあり、映写スクリーンBOXを兼ねています。天井の左半分を少し傾斜させて、音響反射板の効果を持たせています。

家の中央に位置するスキップフロアの階段からリビングを見上げたところ。
天井は屋根勾配なりに傾斜していて、高いところで3.5mあります。
リビングの床下までオーディオルームのコンクリート打ち放しの壁が見えています。

約20帖のLDK。
南側から十分な採光をとるため全面開口にして、両サイドに構造上必要な筋違にステンレスブレースを採用しています。

リビングからスキップロアの階段を見たところ。
下に見えるドアは玄関から半階上がった1階の個室、右奥がお風呂などの水回り、上奥のドアが2階子ども室の入口、右側が寝室です。
天井の高いリビングを中心に、各部屋と短い動線で行き来できる、機能的な間取りになっています。

設計者

ユーザー 青井俊季建築設計事務所 青井 俊季 の写真
オフライン
Last seen: 12ヶ月 3日 前
登録日: 2012-07-24 10:10